経口避妊薬と親知らず抜歯について

患者さん向け情報

経口避妊薬の作用機序とは

経口避妊薬(ピル)は卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)の2種類の女性ホルモンを配合した薬剤です。
ホルモンバランスを安定させ、卵巣からの排卵を抑制します。

経口避妊薬の親知らず抜歯への影響

経口避妊薬の使用は必ず歯科医師に伝えてください。
特に親知らず抜歯ではドライソケット(抜歯後の治癒不全)の発生率が高くなるという報告があります。
ある論文では経口避妊薬の使用していない患者さんと比べて使用している患者さんでは
ドライソケットの発症率が2倍であったとの報告があります。

経口避妊薬の抜歯部位への作用機序

抜歯して穴が開くとそこには骨(歯槽骨)がむき出しの状態になります。
通常は血液が溜まり、血餅が作成され骨がリモデリングを起こし骨が再生されていきます。
しかし、経口避妊薬の作用として
血清プラスミノーゲンを増加させ、血清プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤-1を減少させることにより、線溶を増加させると考えられています。
この作用により一度できた血餅が溶けてしまったり、正常な血餅が作成されないことで治癒不全を引き起こすと考えられています。

月経周期と適切な抜歯時期

月経周期によって引き起こされるホルモンの変化、特にエストロゲンの変化は、ドライソケットの発生率に影響を与える可能性があります。
ある研究によると、月経周期の 8 日目から 21 日目にリスクが増加し、OCP の使用によって増加することを示唆しています。
対照的に別の研究では、月経周期の 14 日目に最も低くなることを示唆しており、月経を避けて抜歯行うことを推奨しています。
月経周期がドライソケット発生率に及ぼす影響に関する現在のエビデンスは決定的ではなく
関連が存在するかどうかを判断するにはさらなる研究が必要と考えられます。

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