水平埋伏智歯の周囲骨をピエゾサージェリーで除去し、歯を丸ごと上方に抜歯するテクニック
逆性埋伏などの難易度の高い抜歯では、通法での抜歯では
・骨削量の増加
・歯冠分割の難易度、下顎管損傷リスクの増加
・手術時間の延長
などを伴うことが多くなります。
そこで智歯周囲の骨を一塊に除去し、歯をそのまま上方に持ち上げて抜歯するテクニックが用いられることがあります。
今回は上海第九人民病院で2015 年 1 月 1 日から 2016 年 5 月 31 日にかけて、243 本の下顎第三大臼歯抜歯を受けた 171 人の抜歯レビューについてご紹介します。
全層フラップを持ち上げた後、ピエゾサージェリー(Silfradentイタリア)にて周囲骨を一塊除去します。
その後、歯根周囲に沿ってピエゾサージェリーにてグルーブを作成し、頬側からへーベルで一塊に抜歯します。
この方法により
・手術時間の短縮
・オトガイ神経損傷リスクの軽減
・ピエゾサージェリー使用による熱損傷、軟組織損傷の軽減
などが得られたと報告されています。
従来の回転切削器具と比べ、ピエゾサージェリーを用いることで低侵襲に行うことが出来る方法かと思います。
また、逆性深部埋伏の抜歯では歯冠部で下顎管が近接しやすく一塊に上方に抜歯することで、神経損傷リスクも軽減します。
ただし、歯根が複根で分岐が広いものではこの方法は避けたほうが良いと考えます。
その理由は分岐部周囲の骨抵抗が大きく、高応力抜歯となってしまうからです。
このようなケースでは、側方からアプローチする従来の抜歯方法を用いるべきかもしれません。
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